海外で増加する病院のM&A

医療の分野に資本主義の考え方をいち早く導入している海外の病院では病院の買収による合併・統合が非常に活発に行われています。自国の民間医療市場は頭打ちと判断した南アフリカ共和国のメディクリニック社は、海外進出への足がかりを得ることを目的に、スイスの民間病院グループ(ヒルスランデン社)を買収してスイスへ進出を果たしています。

一方、日本におけるM&Aでは、後継者不足や地域のライバル病院との競争に敗れて経営難に陥った病院から求められる形で事業を継承する救済型タイプが主流となっています。買収する側にとっても1から新病院を開設するよりも初期投資を低く抑えることが出来るというメリットがあります。

病院のM&Aのメリットには、第一にスケールメリットによる医薬品や医療機器の仕入れ等に関する価格交渉力の強化が挙げられますが、もうひとつは継続的な人材育成のための環境を手に入れることができるという点です。一般企業と違って、支社や営業所、別会社、新規事業を柔軟に創設することができず、病床規制もある病院はM&Aで子の状況を打開することができます。

従来は特定の病院グループが中小病院を傘下に納めて拡大する手法としてM&Aが行われてきましたが、今後は中小病院が手を組んでグループ化を図る戦略的な手法が増えてくる可能性があります。100床規模の病院が合併し、500床規模の病院へ再編することで、地域に必要ない両機能の整備や人材育成のための環境等などの整備を進めることが可能になります。