日進月歩の大腸がん治療

大腸がんの治療は日進月歩で、数年前は最先端医療だったものが、今は標準治療になっているものも少なくありません。例えば、最初に「大腸がん治療ガイドライン」が2005年当時は早期大腸がんだけに限定されていた腹腔鏡手術が、2009年版では一部の進行大腸がんの治療法として明記されました。

2010年版で大きく変わったのは化学療法です。前回のガイドライン改定以降、新しい抗がん剤が認可されたり、従来の治療薬の適応が広がったりして、化学療法の選択肢が増えたためです。具体的には、①手術後の再発を防ぐ「術後補助化学療法」にオキサリプラチン(エルプラット)という抗がん剤が使えるようになった、②再発・転移がんの二次治療で使用されていたセツキシマブが一次治療でも使用できるようになった、③セツキシマブと同じタイプの分子標的薬、パニツムマブが国内で使えるようになった、などが挙げられます。

日本の大腸がん治療は治療成績で世界のトップですが、患者が増えていることもあって、専門病院だけで診ることは難しくなっています。ガイドラインは一般の病院でも専門病院で推奨されている治療ができるよう、その方向性などを示したものです。最新の治療法は載っていませんが、推奨されている治療を行えば、専門病院と同じように高い治療成績が得られます。